配送事故の話と、怒るということについて。 – ゲーム修理ドットコム

どうも池田です。
定期的に発生する、配送中の衝撃による本体の故障。
こればかりは、私やお客さんがどれだけ気を遣っていても避けられない事故です。

最近までは一度もなかったのですが、
不思議なことに一度発生すると立て続けに起きます。
そのたびに腹は立ちますが、配送事故があると、思い出すことがあります。

1年前の話

たしか一年前くらいでしょうか。いや、いつだったのかも忘れました。
一週間のうちに3件、配送事故で依頼品が故障していたことがありました。

といっても、箱がグシャグシャ、中バキバキみたいな感じではなくて、
箱、機器の外観は無傷。でも精密機械の機能が壊れてるような、
誰が悪いのか判断が難しいタイプの事故です。

箱や機器が綺麗だと、保証されない

一般的に、箱がつぶれていたり、中のパーツが割れていたりすれば、
通常は、箱が潰れてる、中の部品が割れてるとかなら配送業者が検査して、
保証対象かどうか判断します。
でも、箱も綺麗、中も割れてないってなると、基本は「保証対象外」です。

つまりどういうことかというと、
たとえば箱ごと平たく硬い所にぶつけたり、投げつけられたりすると、
箱は無事でも中の基板にダメージが入ることがあります。

特に保証外なのは、高いところから面でドンっと落とされたパターン
機器の機能だけが壊れる原因です。

PS3は特に壊れやすく、衝撃によって映像が出なくなったり、YLODになったりします。
RSXやCELLそのものが故障したり、はんだが浮いたり、基板から剥がれたりしてしまいます。
※RSX・CELLはパソコンの部品でいうと、GPUとCPUです。

「誰が悪いのか分からない」は全部こっちに来る

自分のところで何重にも点検して、問題なかった機器が、
お客さんのところに届いてから突然映らない、YLOD(PS3の起動中に電源が落ちる故障)が出る。
こうなると、もう配送中の事故だと判断するしかありません。

でも、こういう時に一番に疑われるのは、修理業者である私です。

お客さんからすれば、「雑に修理された」「お金だけ取られた」と思うのが普通です。
私が客なら、同じように思うはずです。

雑に送る意味がない

クレームの対応は時間もお金もかかるので、
私は可能な限り梱包材を追加して、衝撃が入らないように工夫して、毎回丁寧に発送しています。

クレームという言い方は違いますね、壊れているのだからクレームではありません。

この仕事は、まず信頼関係がないと成立しません。
だからこそ、見えないところこそ丁寧にやる。
これが修理ミスを防いでいると考えています。

お客さんだって、自分のお金で修理を依頼してる以上、大切に扱うはずです。
それでも壊れて届いたなら、配送中に雑に扱われたと考えるのが自然です。

実際、重ね積み禁止の荷物を平気で積み重ねたり、
「よっこらしょ」って地面にドンッと置く配達員もいます。

私は毎回、「精密機械なので。これはお客さんの物なので」と伝えてますが、
そういう人に限って面倒くさそうな顔をします。
・・で見ていないところで、ドンっと置く。

ですが、お客さんの手元に届いて機能しなかったら、
一番疑われるのは私です。

外傷がなければ配送業者は保証しない。
機能面には関知しません、で終わりです。

配送業者の担当員も、「本当に修理して返したんかよ(笑)」と思う人もいるでしょう。。。
お客さんからすれば、「宅配業者にせいにした」と思うでしょう。

限界を越えたとき

今までも何度かあって、毎回問い合わせしてきましたが、
結局は「保証対象外」って言われるだけなので、
自分が無料で再修理していました。

部品代も修理代も送料も、ぜんぶ私が負担。
損をするのに、
雑に修理・発送なんてするわけがありません。
怒鳴られたり、データ消失の説明で落ち込まれたり、
こちらも辛くなるので、いい加減なことは絶対にしません。

データは今までの積み重ねなので、これが消えると伝えるのは非常に辛いものです。

でも、あの時は違いました。
一週間に3件、立て続けに発生。

さすがに腹が立って、電話しました。

私は滅多と怒りません。イライラはよくしますが、
それを直接言うことは、ほとんどありません。

起こってしまったことに怒っても何の意味もありませんし、
喧嘩したところで、全く意味も価値もないと考えているからです。

ですが、この時は完全に我を忘れていました。

電話のやり取り

冷静に事情を説明。
「1週間で3件っておかしくないですか?」と伝えたところ、
電話口の女性は

「外傷がない場合は保証対象外」
「緩衝材は上下左右にしっかり詰められてましたか?」
「修理済みの証拠は?動画はありますか?」

など、あんまり細かくは覚えていませんが、そんな感じの事務的な言い方をされて、
ブチッときてしまいました。

「名前言え! 近いから直接話しに行くわ! ばかやろう!!」

って、いい年して電話で怒鳴ってしまって、
電話を切ったあと、なぜか全く関係のない見本のPS3の基板を袋に入れて、向かう準備をしてました。

しばらくすると、また電話が鳴って、
今度は別の担当者から、丁寧な謝罪の連絡が入りました。

「上の者に相談してみます」と言われ、数時間後に再び電話があり、
「今回は対応できません」との回答。

まぁ、そうだろうなとは思いました。

その数時間の間に、怒りも落ち着いてきて、
結局いつも通り、3件とも再修理対応しました。

冷静になってから思ったこと

よくよく考えたら、
最初に電話に出た女性が雑に扱ったわけでもないし、
誰が雑に運んだのかも分からない。
女性に怒るのは間違いです。

そもそも、自然故障が偶然重なった可能性だってあるし、
私の修理ミスが3件続いた可能性だってゼロではありません。

3件とも「PS3 CECHA00」。
詳細な修理内容は忘れましたが、いずれもディスク読み込み不良や、YLOD修理で、
発送前には映像が出ることは確認済みでした。

戻ってきて点検したときには、3台ともRSX関連の故障でした。
これもよくよく考えたら、輸送中と思いますが、
証拠がないので、配送業者からしても「は?」ってな感じでしょう。

怒るということ

冷静になって、深く反省しました。

怒るって、冷めたあとにすごく恥ずかしくなるのですよね。
しかも、怒ったところで体力を消耗するだけで、本当に意味がない。
その後もモヤモヤして作業もままならない
下品な言い方をすると、怒っても相手と自分が不快になるだけで、一円の得にもならない。

過去にも理不尽なことを言われて、お客さんと口論になったことがありますが、
結果としてさらに面倒が増えただけでした。
そういった経験を経て、今では限界+30くらいは我慢できる頭脳になりました。

とはいえ、たまに相手が“勝った気でいる”感じや、“面倒事が簡単に終わった”感じがすると、
ちょっと腹が立つこともあります。
でも、それも含めて我慢するべきなのでしょう。

最後に

現在、映像不良でご迷惑をおかけしているお客様へ。
本当に申し訳ございません。

本来は修理を最優先すべきなのですが、少し感情が抑えられず日記として書きました。
もう少しだけ、お時間をください。

2時間ほど時間を使ってしまいましたが、今しっかり頭も切り替わりました。
これより修理作業を再開します。
もう少しだけ、お時間をいただければ幸いです。

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